堺打刃物

堺打刃物とは

世界の料理人が愛した一丁

大阪府堺市周辺に由来し、同地域において生産される包丁や鋏などの刃物類を「堺打刃物(さかいうちはもの)」といいます。
鍛冶職人(火造り)と研ぎ職人(刃付け)の分業制による、伝統的な製法によって生産されています。 日本刀の製造技術を礎とし、鉄砲や、後に品質の高さから江戸幕府の専売品となるタバコ包丁の製造などを通して発展していきました。
堺製の料理包丁は、切れ味の鋭さと使い勝手の良さからプロの料理人のほとんどが使用しているといわれています。

刃物一覧
伝統認証

この証紙は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律により経済産業大臣が指定した伝統的工芸品につけられる証紙で、 「伝統証紙」といいます。 「伝統証紙」がついた製品は、生産地の組合が、上記の基準に合格しているかどうかについて厳重な検査を実施したものであり、 生産者が誇りと責任をもってお届けする製品です。

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堺打刃物の歴史
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堺打刃物の歴史は古く、平安時代から鋳造・鍛造の高い技術を持っていました。
15世紀半ばにポルトガルから種子島に鉄砲が伝えられて間もなく、堺の刀鍛冶たちは高い製鉄技術を活かして鉄砲の製造にとりかかりました。 海に開かれていた堺は火薬の原料となる硝石を輸入しやすかったこともあり、江戸時代までに10万丁の鉄砲を生産したといわれています。
やがて庶民の間でタバコが広まり、堺ではその葉を刻むタバコ包丁の製造が盛んになります。 その切れ味はとても鋭く、石をも割るほどの切れ味と評価され、幕府の極印「堺極」として認定されました。
堺の匠たちによって伝承されてきた「堺打刃物」は、時代と共に研ぎ澄まされて今日に至るのです。

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製造方法

堺打刃物は「鍛冶」、「研ぎ」の伝統的な分業体制で作られています。 こちらではその大まかな製造方法をご紹介致します。 実際の工程のご見学は、堺刃物ミュージアムにて受け付けております。

鍛冶師の作業工程

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地鉄と刃金を接着します。 熱した地熱を叩き、ホウ酸、硼砂、酸化鉄などでつけた刃金とあわせ、 炉に入れて火造りをしていきます。

火造りした材料を動力ハンマーで叩き、包丁の形を整え、地金と刃金をなじませます。 整形後、たがねを入れて切り落とします。

炉に入れて熱し、ハンマーで整形します。
整形した包丁を藁に入れ、灰になる過程で徐々に熱を冷まします。(焼きなまし)

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包丁の酸化被膜をハンマーで叩いて剥がし、動力ハンマーで荒叩きします。 その後グラインダーで裏を研磨し、くぼませます。

更にハンマーで全体を叩いてならします。この工程で包丁が鍛えられます。 のばされた包丁を型に合わせて裁ち落とします。

ゆがみやひずみを取り、裏に刻印を打ちます。 全体をグラインダーで仕上げ、再度ハンマーでねじれなどの修正をします。

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焼きむらを抑えるため泥を塗り、およそ750℃~800℃に加熱。水につけて熱を取ります。 焼き入れにより、刃金の高度が高まります。

冷めた包丁を再び炉で熱し、水滴をたらしてその走り具合で温度を見る。 これにより、刃金に粘りが出て欠けにくい刃ができます。

焼き入れ、焼き戻しによって出来た歪みを修正します。 研ぎ師に出す前の最終段階になります。

研師の作業工程

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木製の型にはめ、粗い目の回転砥石で全体を粗く研ぎます。刃先の肉を落とし、角度を決めます。

包丁の平らな面を研ぎ進め、厚さを決める。砥石でついた粗い目を、バフを当てて細かくして行きます。

包丁の刃先を研ぎ、刃をつけています。刃ひきしながら仮の刃をつけておき、再度歪みをならします。

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鍛冶ですいた裏をさらに研ぎ、きちんとした形に整えます。バフを当てて目を細かくし、さらにうすく研ぐ刃あての工程です。

木砥あて 木製の回転木研で「目」を通していきます。金剛砂を包丁に塗りつけ、きめ細やかな裏面にします。

砥石の粉を練って泥状にし、ゴムにつけて刃先をこすります。艶が出て波紋が浮き上がります。最後に刃先を研ぎ上げます。

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錆止めの油ひきをして、最後に柄をつけて箱に梱包し、完成です。

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